●セミナーの概要
本講は、「CSR」について企業コミュニケーションの視点から考える。
企業は、企業活動を進める時、様々なステークホルダーとの係わりを持つことになるが、片寄りなく、全てのステークホルダーの満足と良好なコミュニケーション、関係性を追及することは、「CSR」の推進につながる。
企業と関わるステークホルダーは、幅広く多様である。一般に言う顧客、株主、従業員、地域住民だけでは収まらない。時にはステークホルダー同士、利益相反する場合もあり得る。特に何らかのクライシスが発生した時、これは顕著な形で現われる。
例えば、工場の爆発火災事故が発生し、操業停止に陥ったとしよう。顧客(特にBtoBの場合のユーザー)の立場からは、一日も早い操業再開と製品出荷が求められる。しかし、近隣住民の立場からすれば、十分な再開防止策が施され、安全が確認された上での再開を望むこととなる。企業は、この場合、双方に対するアカウンタビリティを負わなければならない。しかし、時間的余裕のないクライシス発生時には、往々にして企業(経営者)は社会サイドの利益を軽視して企業利益サイドに立った態度や発言に傾斜し、マスコミからの批判の的となる。
この社会的利益サイドと企業利益サイドの攻防は、ほとんどの場合、前者が勝利し、時により企業は致命的な傷を負う。
極限状態であるクライシスコミュニケーションの中でこそ、企業は社会の全体最適に貢献するスタンスが求められる。これには企業の利益によって貢献できる一部のステークホルダーだけではなく、それ以外の全てのステークホルダーから求められているものにも応え、良好なコミュニケーションを構築しようとする日常的な企業姿勢が最も大切である。
本講は、「コーポレートコミュニケーションリスクマネジメント」と言う概念をベースにクライシスコミュニケーションの事例を通じ、企業理念としての「CSR」の重要性を説く。
●講師
山中 塁 氏
旭化成不動産株式会社代表取締役社長、当協会理事