○ 第1回 2005年5月
「最近のインターネット状況」
「インターネット上の風評リスク」

 ○ 第2回 2005年6月
「企業の風評リスク対策」
「クライシスマネジメント」

○ 第3回 2005年7月
「具体的なインターネット上のリスク対策」

○ 第4回 2005年8月
「最終回」

○ 作者プロフィール
 
  第1回
株式会社ガーラ データマイニング事業部 工藤 尚一、佐野 真啓 著      

はじめに
著者が勤務している会社はリスクマネジメントに特化した会社ではなく、Webマーケティングの会社。インターネット上でどういう口コミが流れているか、調べたり育てたりするなど口コミを活用したマーケティングを行っている。
今月号から「インターネット上のリスクマネジメント」と題して、著者の業務の中で生々しい現場を見聞している、インターネットにおける企業の風評リスクとその対策について4回のシリーズで紹介したいと思う。

  ●最近のインターネット状況
ご存知の方も多いと思うが、インターネットの利用人口は情報通信白書によれば、平成15年の末には7730万人と推計され、1年間で788万人増加し、人口普及率は60.6%と初めて60%を超えた。続いてインターネットの登場による情報の流れの変化を調べてみると、登場以前は、企業などから新聞、ラジオ、テレビや雑誌という従来のメディアを通じて生活者に情報が届けられる、ある種一方通行の流れであった。しかし、インターネットの普及により一方通行ではなく双方向のコミュニケーションになり、様々な立場からの情報発信も可能になった。情報の流れが大きく変化したのだ。特にインターネットを流れる情報が生活者一人ひとりに与える影響は計り知れない。もはや企業にとってインターネットは既存メディアと同様、否そのメディアの特性から考えるとそれ以上に動向・実態を注視しなければならないメディアだ。
「インターネット上の個人の発言=書き込み」の状況を調べてみると明らかに拡大傾向にある。インターネットの黎明期では企業や個人が運営するいわゆるホームページや参加者すべてが読み書きできる電子的な掲示板サービスが主流だったが、最近では「ブログサイト」、「ソーシャルネットワーキングサイト」や「コミュニティサイト」など同じ「書き込み」でも様々な形態が現れ、それぞれが隆盛だ。いずれにしろ依然として匿名性の高いメディアではあるが「書き込み」への生活者、利用者の意識は高まっているし、サイトの形態・性格によって住み分けが進んでいる。
上記図をクリックすると拡大図がご覧になれます。
 

  ●インターネット上の風評リスク
この口コミならぬ「書き込み」が企業や社会に及ぼす影響を認識するために、過去のいくつかの代表的な事例を紹介する。

@ 東芝事件 ;発生1999年9月
福岡の会社員が「クレーマー」として扱われた東芝の相談窓口との会話を録音し、自身の告発ホームページで公開したところ、そのホームページへのアクセス数が1000万を超え、マスコミでも大きく取り上げられた。東芝が対抗手段として告発ホームページの内容の一部削除を求める仮処分申請を行ったことで、今度は2,000件もの批判電話が同社に殺到し、結局仮処分申請を取り下げ、記者会見で謝罪した。個人のホームページが中心となって、企業が大きなダメージを受けた代表的な事例。

A 佐賀銀行事件 ;発生2003年12月25日
「佐賀銀行が破綻するらしい」との情報を20代の女性が知人26人に携帯電話メールで送信。
その情報がさらに連鎖的に多くの人に転送された。メールを受信し不安を感じた預金者が佐賀銀行のATMに並び始め、行列が行列を呼んだ事により、結果取り付け騒ぎが発生。1週間で450億〜550億円の預金が流出。可視化された現実が、デマの信憑性を高めた。

この他にも、2005年2月20日に発生した英検試験問題の流出。午前の受験生が試験後に「2ちゃんねる」に問題内容を書き込み、午後の受験生が試験前にチェック。試験中に情報が流出し、結果的にはマスコミの知るところとなった。これなどは瞬時に情報を流すことのできるネットの特徴が悪用されたケースだ。
また、個人情報を不正に入手するために、悪徳業者が企業サイトに酷似したサイトを公開し、気づかずに登録、本人確認を行った利用者に被害が発生するなど枚挙に暇がない。

このような事態・被害を未然に防ぐためにも、企業は早急に対策に取り組むことが必要であろう。次回からは、インターネット上のリスクマネジメントについて説明する。

 

 
 
 


 
 
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