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この原稿を書いているときに、テレビを見ていたら与謝野大臣が出演をしていました。大臣の発言が第8回の連載に書いたこととダブっていました。要旨はこうです。
『テレビのコマーシャルを見ているとかわいい犬が出てきて実に暖かい雰囲気がでている。あのコマーシャルを見ている人は、この会社なら安心してお金を借りられる、と思うでしょう。ところがそのような会社が灰色金利で、しかも悪質な取立てをしている、というのは納得ができません。』
司会者の発言「じゃー、どうしたらよいでしょう」
大臣『テレビ局が自主的に判断してくれなければ困る。』
以上のようなあらましでした。
このやり取りの中に今日の日本が抱えている重要な問題が隠されています。損保ジャパンの不祥事にしてもトップが引責辞任をすれば済むものではありません。大阪の社会保険庁で噴出した問題も同根です。社会保険庁の長官は損保ジャパンの出身です。損保ジャパンの事件の根っこと社会保険庁の事件の根っこは、同じです。
見てくれだけ、体裁だけを整えて、基本的な社会に対する責任や使命を全く忘れている。自分の任期の間、自分に対する人気だけを高めようという浅ましい魂胆です。日本とアメリカでは、政治家と経営者のレベルが最近著しく悪くなっているという点が共通しています。見てくれだけの成果主義を追っていく、そのような組織で仕事をやらせてきた経営者が規制緩和と民間活力の導入という間違った観点から役所の分野に入ってくると大阪の社会保険庁のような問題は次々に起きてきます。正確に言えば、これからもっと表に出てくるでしょう。
例えば、規制緩和で誰でも簡単に会社が作れるようになります。資本金は誰のものでも良いのです。金額の入っている通帳をコピーして出せばいいのです。社名も従来のような規制がありません。「株式会社ソニー」という会社を誰でも作れるのです。
CSRという角度から見ると日本の会社には、まず経営者の意識と行動を根底から変えないと駄目だということにお気づきになられるでしょう。
『経営』というのは、本来プロの分野です。ところが日本の経営者にはプロがいません。サラリーマンで上に気に入られながら、上がってきた人ばかりです。実力が伴っていません。派閥と閨閥で徒党を組んできた人が出世をします。ソニーショックのソニーはその典型でした。盛田さんの奥さんに可愛がられた出井さんが社長になりました。出井さんは自分が一緒に仕事をして可愛がってきた徳中さんを副社長にしました。ここには、大局観も使命感もありません。
小学校のクラブ活動と一緒です。あれだけの会社でも、駄目になったらあっという間です。今となっては、誰もが知っていることですが、出井さんは評論家や学校の先生になっていたら成功したと思います。情実で人事をやった結果がソニーショックです。しかし、その張本人の徳中さんは責任もとっていません。ホールディングスの社長になりました。しかし、出井、徳中体制の下でリストラされた社員は何人いたでしょうか?
ソニーに恨みがあって書いているのではありません。このような会社が多いのです。このような現状の中でCSRを唱えることは勇気がいることです。
与謝野大臣の発言にあった「テレビ局が自主的に規制をしてくれ。」という発言は、尤もなことです。しかし、テレビ局が大臣の期待に応えられるような判断をするでしょうか?応えはノンです。
なぜなら日本のテレビ局(民放)はすべて電通の支配下にあるからです。何でもビジネスにして儲けようという電通の意向に逆らうような決定をテレビ局はできません。社員が罪を犯したときに電通以外の広告代理店の社員なら会社名も犯人の名前も実名でテレビも新聞も報道します。しかし、電通の社員の場合は、実名はでません。テレビの場合は、報道もしません。新聞に不祥事の容疑者の所属が「大手広告代理店」となっていたら電通のことです。しかも電通の支配下にある新聞社がテレビ局を経営しているので。
国ぐるみ「儲け」一辺倒で走りだしている日本で本当にCSRを実現しようとしたら、世間を敵に回すことになります。実は、そのくらいの気概のある経営者を養成しない限り、言葉の正確な意味での『CSR』は実現できません。
これが、抜本策です。 |
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