○ 第8回 2006年12月
「トップ・マネジメントによるインナーへの対応A」
○ 第7回 2006年11月
「トップ・マネジメントによるインナーへの対応@」

○ 第6回 2006年10月
「企業経営におけるインナーとアウターの関係」

○ 第5回 2006年9月
「インナーのモチベーションと企業価値への影響」

○ 第4回 2006年8月
「企業と商品が保有する無形価値A」

○ 第3回 2006年7月
「企業と商品が保有する無形価値@」

○ 第2回 2006年6月
「商品とは?」

○ 第1回 2006年5月
「企業と経済社会」

○ 作者プロフィール
 
     第6回  “企業経営におけるインナーとアウターの関係”
土屋 博之 著      

前回は、インナーの行動と“ブランド”との関連性において、『ヒューマン・コミュニケーション』が価値あるブランドの創成要因のひとつとして、大きく影響を与えていることを述べた。
今回は、その『ヒューマン・コミュニケーション』において、“インナー”と“アウター”の関係性および関連性について考えていく。
1. 企業における組織
@組織の時代
企業および企業の大きな経営資源のひとつである人材(人財)は、組織の複合体かつ組織そのものである企業を形成している重要な要素である。
また、現代社会において、私たちは組織と無関係に生活することはできない。これは、ほとんどの人々はいずれかの組織の構成要員であり、日々の買い物をする場所や学校、そして居住している市町村も組織であることから、認識することができる。
そこで、組織の定義および基本となる要素をバーナード(Barnard,C.I.)の研究をもとに、考えていく。

A組織とは何か?
前述のバーナードは、組織の定義を、「二人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力のシステム」であると述べている。
また、組織の基本要素としては、
★ コミュニケーション
★ 共通目的
★ 貢献意欲
の3点の存在を述べている。
これを、組織の特性として考えていくと、
一つ目として、組織は共通の目的達成のために形成された手段であり、社会的なツールといえる。
二つ目として、組織は個人ではなく、複数の人々およびそれらの集団の集合体であり、この特性は「協働」という言葉で表現できる。反面、能力や異なる考えの人々が「協働」することによる、組織運営の困難さも合わせ持っている。
三つ目として、組織は人の活動や力量によって成立している。企業のなかでは、それらの活動は、商品を作成・販売する作業活動、そして、それらの作業活動の計画やコントロールをする管理活動がある。
これを、図に示すと次のようになる。

企業の中核は、調整された作業および管理活動システムの組織である。それに加えて、ヒト、モノ、カネ、情報の経営資源が企業の主な構成要素である。
最後に、組織としての活動は、「意識的に調整」されている。組織メンバーとしての個人の行動は、組織的に調整され、組織の目的達成に向けて統一されている。
以上、簡単ではあるが、企業内における組織の位置づけを述べた。次に、“インナー”と“アウター”の関係における、関連性をコミュニケーションの切り口から考えていく。

2. インナーとアウターのコミュニケーション
@企業ビジョンへの影響
前述のとおり、企業とは、ある共通の目的を達成および実現させるための協働体であり、企業の従業員は目的を共有化し、その達成および実現に向けて活動していくことで、その活動に共感・共鳴するステークホルダーに価値を提供する。これら活動は、企業存続に強く影響している企業の目的でもある、ビジョンをどのように創り上げ実現させていくかの指針ともなる。
さらには、インナーコミュニケーションとアウターコミュニケーションを上手に活用することで、企業のビジョンの実現と、そのための企業変革も可能である。
インナーコミュニケーションとアウターコミュニケーションの機能は、個別ではなく一体化させることにより、アウターの期待に対する評価をスパイラル的に高められることで、インナーに自信を持たせ、エモーショナルの向上につながる。そのことは、相乗効果として、インナーからアウターへの継続的に、より高い価値を提供することに繋がる。
いいかえれば、インナーとアウターの間において、良い循環を持った有機的なスパイラルを創ることにより、アウターへの価値提供において現在価値以外の新しい価値を提供することが可能となる。

A有機的スパイラル
有機的なスパイラルを循環させるためのポリシーとしては、企業において、次の点を留意しておくことが望ましい。
●アウター(ステークホルダー)に強く意識を持ち、それらを平等に位置づけ、考えや期待、そして意見を傾聴する。
●社内においては、階層をなくしたコミュニケーションにより、情報の流れを作る。
●社内の部門間を横断させ、組織の壁を越えたコミュニケーションにより、情報の流れを作る。
●インナーの活動においては、部分最適ではなく、アウターを意識した全体最適での活動および考えを持ち活動する。
●社内の機能のすべては、経営トップが指揮・指導する。しかし、それが無理であれば代理とするリーダーに権限を委譲し、そのリーダーが経営トップに成り代わって指揮・指導する。
これらのことは、企業の目的でもあるビジョンを実現させるために、インナーとアウターおよび社内のコミュニケーションによるギャップを最小にすることで、関係と関与の場を作り、全体最適に企業を変革させる手段となる。

Bコミュニケーションにおける企業経営
企業の経営活動は、社内外の資源の有効活用により、価値を生産し、社会に供給していくことである。その経営活動においては上記のとおり、非常に重要な役割として、コミュニケーションが存在し、そのコミュニケーションによって、アウター(ステークホルダー)とのさらなる強固な関係は作り出される。
その活動に共感・共鳴するアウター(ステークホルダー)に新しい価値を提供し続けることが、企業の目的でもあるビジョンの実現であり、そのことが企業生命の存続にも大きく寄与していくことである。

次回と最終回では、企業価値を拡大するためのインナー・リスク回避における、経営トップのインナーへの対応手法について述べていく。

 
 


 
 
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