○ 第10回 2007年5月
「CSRの実践としての消費者志向促進へ」


○ 第9回 2007年4月
「企業のホームページをCOMSの視点で検証(2)」


○ 第8回 2007年3月
「企業のホームページをCOMSの視点で検証(1)」


○ 第7回 2007年2月
「消費者志向経営における消費者とのコミュニケーション」


○ 第6回 2007年1月
「消費者志向を反映した緊急事態の取り組み」
○ 第5回 2006年12月
「消費者志向経営における自主基準の役割」
○ 第4回 2006年11月
「消費者志向経営を公開情報で検証しました(2)」

○ 第3回 2006年10月
「消費者志向経営を公開情報で検証しました(1)」

○ 第2回 2006年9月
「消費者志向経営の勧め」

○ 第1回 2006年8月
「今求められているのは実践的な消費者志向経営」

○ 作者プロフィール
 
※COMSとは、消費者志向マネジメントシステムNACS基準 (Consumer-oriented Management System NACS Standard)の略称で、企業などの組織が、消費者の権利・利益を尊重し、消費者のニーズや期待に応えた消費者志向経営を実施・推進していくことによって、その社会的責任を果たすための要件を指針として定めたものである。

第6回 消費者志向を反映した緊急事態の取り組み

商品・サービスの不具合などによって、事故その他消費者の被害が発生することがあります。そのような緊急事態においてこそ、消費者志向経営が行われているかどうかがわかるともいえます。COMSではこのような緊急事態における必要な仕組みも用意しています。

最近、商品事故が多発し製品の安全性が問題になっていますが、最近起きたN社の携帯電話の電池の不具合を例にとって考えてみましょう。12月8日の朝日新聞によれば、携帯電話の電池の不具合について、N社には05年11月の発売直後から06年5月までに、「電池が熱くなる」という苦情が計11件寄せられていたため調査したところ、製造工程に欠陥を発見し、5月出荷分より製造装置を改修するなどの対策を講じていたが、N社は、影響は大きくないと判断し、不具合を公表せず個別交換に留めていたということが報じられています。

この報道によれば、今年11月にはこの携帯電話の電池の破裂によるやけどを負う事故が発生したほか、机やじゅうたんがこげた事例もあったということです。もしN社が不具合の原因を知った時点で広く消費者に知らせていれば、消費者が被害を受けることはなかったものと思われます。

自社の商・サービスで消費者に何らかの被害が発生することは避けられません。100%安全はありませんので、安全な製品を作るというのみでは消費者志向の実践としては不十分であり、万が一、商品の不具合等という緊急事態が発生した場合に、いかに消費者志向といえる仕組みを作るかが大変重要になると思われます。

COMSでは緊急事態における対応をどのように規定しているかを見てみましょう。


(1)COMSにおける緊急事態対応とは
COMSでは、「緊急事態対応」の定義について、商品・サービスに起因した消費者の生命、身体、財産等の不利益を発生させた場合、あるいはその可能性のある事態発生に際して組織が取る対応、としています。

(2)緊急事態対応体制を構築することを求めています
COMSでは消費者志向経営全体を統括する体制のほかに、消費者志向経営方針を反映すべき関連体制の構築を求め、その中に、緊急事態対応体制の構築を求めています。
それは主に、仕組み、責任者および責任者の役割、責任、権限について規定する内容となっており、その緊急事態対応の仕組みを公開することを求めているのが大きな特徴といえるでしょう。緊急事態の対応の仕組みを公開する企業は大変少ないのですが、雪印乳業では「商品事故の対応概念図」を自主行動基準のなかで公開しています。

(3)緊急事態における方針を立てることを求めています
COMSは消費者志向経営の具体的取組項目である個別分野の方針を立てることを求め、緊急事態についても同様としています。
ここでは文書化した方針を定めているか、社内に周知しているか、社外に公開しているかを問うものとなっています。

(4)緊急事態対応における行動規範、基準、マニュアルなどの内部規程の策定を求めています
緊急事態対応については、緊急事態が発生してから対応を決めるのでは十分な地王ができません。あらかじめルールを定めておくことが必要です。ただし、どのようなルールでもいいのではなく、消費者志向経営方針を反映したルールであることが求められます。

 

COMSチェックリストはどのようになっている?

「内部規程を作成している」と回答した場合、その内部規程には次の事項を盛り込んでいますか。

@関連法令等の遵守
A消費者の権利・利益確保のための自主ルール(関連法令の具体化・適用範囲の拡大、自主規制など)
B緊急事態対応の範囲
C対応基準・手順
D法令・自主基準・社会倫理違反の是正
E対応報告作成の基準


多くの要請があるように見えますが、たとえば、「A消費者の権利・利益のための自主ルール」とあるように、COMSでは企業の自主性を尊重します。しかし、消費者志向といえるためには、法令の遵守のみでは十分ではなく、それを上回る自主ルールが必要で、その自主ルールは、消費者の権利・利益確保の観点で作られる必要があります。
また、「E対応報告作成の基準」とありますが、COMSでは消費者に対する説明責任としての報告を重要視しますが、対応報告の基準は企業独自のものでかまいません。
数少ない緊急事態対応についての内部規程を策定・公開している企業を紹介します。

 

<事例1> イトーヨーカ堂

販売中の商品、あるいは過去に販売した商品について、その表示内容に誤りがあった場合は、イトーヨーカドーが独自に策定した『お客様に関わる自主行動基準』に基づき、店内ポスターや新聞媒体などに情報を開示しています。
また、当社で販売した商品に関して重大な欠陥・事故が発生した場合、または発生する可能性がある場合には、お客様の健康・安全の確保を最優先し、自主回収などの迅速かつ適切な対応によって、被害の拡大防止に努めています。

(イトーヨーカ堂ホームページ:「お客様への約束」、商品の安全性と信頼性の向上、食品の品質管理、販売後の対応 より)

 
<事例2> 雪印乳業

【商品事故が発生した場合の対応】
商品事故が発生した場合には、食中毒事件を教訓として整備した「危機管理マニュアル」に沿って対応します。製品回収や告知を要する商品事故の発生が懸念された場合、社長に第一報を入れ、社長の陣頭指揮のもとで、迅速・的確に問題解決をはかります。
雪印乳業は商品回収の基準を設けており、回収が必要と判断した場合は、迅速にお客様および関係者にお知らせし、事故拡大を防ぎます。
※商品事故の対応概念図の紹介

(雪印乳業潟zームページ:自主行動基準 第2章「お客様・消費者に信頼されるために」より)

(5)消費者志向経営の実施」において、「消費者志向経営の実施と管理」および「消費者志向経営のための教育・研修」に緊急事態対応に関する規定があります
消費者志向経営を実践するために、あらかじめ方針やルールを決めていても、実践で消費者志向に沿った対応が必要であり、むしろその実践のために、方針やルールを決めているともいえます。そこで、「消費者志向経営」がどう実施されたかを管理する「消費者志向経営の実施と管理」という項目において、下記のような項目を、そして、消費者志向経営を実践するのは人であることから、「消費者志向経営のための教育・研修について」において、教育・研修の内容の1つとして、「緊急事態対応」が盛り込まれています。

 

COMSチェックリストはどのようになっている?

1.消費者志向経営の実施と管理
●緊急事態が発生した場合、どのように対応していますか。
 @迅速に対応している
 A消費者に十分な情報提供ができている
 B消費者に十分な被害回復措置が取られている
●緊急事態の発生から終息まで、記録を取っていますか。
●緊急事態の発生から終息までの記録は、
 @分析・データベース化していますか
 A社内で共有していますか。

2.消費者志向経営のための教育・研修について
教育・研修の内容について
次の事項について教育・研修を行っていますか。
緊急事態対応 ほか


【参照】COMSの仕組みにおける「緊急事態対応」  ※赤字が該当する部分


○COMS格付けの問い合わせ
(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会  COMS特別委員長 古谷由紀子
NACS:http://www.nacs.or.jp/、COMS特別委員会http://www.nacs.or.jp/coms/index.html
目黒区中根2-13-18第百生命都立大学駅前ビル
TEL:03-3718-4678  FAX:03-3718-4015  E-Mail:coms@home.nifty.jp

 
 


 
 
日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 〒102-0083東京都千代田区麹町4−5 桜井ビル5F 
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