○ 第5回 2007年12月
「リスク分散による第2新卒採用とそのリスク」

○ 第4回 2007年11月
「就職活動における学生達のリスクマネジメント(2)」

○ 第3回 2007年10月
「就職活動における学生達のリスクマネジメント(1)」

○ 第2回 2007年9月
「人財確保のためのリスク軽減」

○ 第1回 2007年8月
「クロージング活動におけるリスク」

○ 作者プロフィール
 
     第1回  クロージング活動におけるリスク
わたなべ あつし 

7月中旬になり、大手企業の2008年卒の学生の採用活動は終わったといっても間違いではないでしょう。
今年は昨年(学生一人に対して1.89社の求人数)にも増して『超売り手市場』と言われている中、採用担当者の頭の中はどうやってクロージング(学生の囲い込み)をするかでいっぱいなはずだ。実際に内定式を控えたこの時期は、『座談会』『懇親会』『インターンシップ』といったクロージング活動が計画・開催されるのが多い。

今回はクロージング活動に関する代表的なリスクを洗い出し、実際に依頼を受けたらどのように対応するかを考えてみましょう。

■目的は何か?
クロージングの最大の目的は、【入社】に繋げることである。
その目的の下、様々なクロージング手法が用いられる。
例えば『座談会』。小さいグループで行い、入社3年目までの若手リクルーターを使用して生の声で仕事内容や会社の雰囲気を伝える。また学生時代に不安だったことなども共有しあうことで、良き先輩として触れ合い会社との距離を縮める。
『懇親会』であり、『インターンシップ(1DAYインターンシップなど)』であり目的はそれぞれ異なってくる。クロージングの【目的】とその目的に合致した【人選】をすること。それが一番のキーポイントである。


■失敗した人選例:座談会に中堅役職社員Aさん

Aさんは30代の中堅役職社員で、社内に熟知し、プロジェクトも任されるようになってきた現場リーダー的存在。若手社員からも良き兄貴分として慕われている。
学生にも慕われ、良い目標となるだろうという狙いだったが、「何か質問は?」と聞いても先頭に立って質問をする学生も居なかったため、一方的に話して会の修了を迎えた。


■結果検証

不完全燃焼に終わった理由@は『Aさんの学生時代』と『現在の学生』のギャップの大きさ。
就職氷河期に入社したAさんは、高い入社意欲を持って就職活動を行ったが、参加した学生は、入社意欲は低くないのだが、そこまでの高い目標はもってなく、まだ完全に入社を決めているわけでもない会社の座談会なので、特別な質問も用意しておらず、参加目的が理解できていなかったことが原因。
すぐにはイメージしにくい遠い先輩社員ではなく、学生に近い新入社員などを使用して入社後の直近の仕事などをイメージさせるなどワンクッションあった方が良かった。また、学生に質問シートなどを予め渡しておいて用意させておくべきだった。

理由Aは『学生同士のコミュニケーション不足』。
互いに遠慮しあって聞きたいことも聞けず。「当たり前な質問はしないだろう」という雰囲気を作り出してしまった。
座談会の前に体験型イベントなどを通して学生同士のコミュニケーションの活発化を図る必要があった。


■もし自分が人選されたら。

@歩み寄る姿勢を持つこと。そのためには準備が大切です。
事前に打合せをして『どのような学生がくるのか(特徴や出身大学など)』『自分との共通点(学科など)』をヒアリングし、『面接シート』をみせてもらう。また、『自分の新入社員時代の失敗談』などを用意しておくと、親近感も沸いてくるだろう。安定志向が高まっているので、こんな自分でもここまでこられたということを伝えることで将来への不安も取り除くことができる。『家族の話』なども効果的でしょう。

A緊張しないこと。
なかなか難しいことですが、学生達は敏感です。相手が緊張していると自分まで萎縮してしまって聞きたいことも聞けない環境になってしまいます。そのために準備が必要なのですが、どうしても緊張してしまうのであれば、自分のサポート役を人事担当者か、同じチームのメンバーに頼むと良いと思います。

B自分の学生時代と比べないこと。
現在の学生は環境が良いです。故に繊細です。学校のキャリアセンター(=就職課)を訪問させていただいたときのワンシーンですが、学生が相談しにきていました。相談の内容に聞く耳を立てていたのですが「周りの友達は就職活動が終わっている、自分だけまだリクルートスーツを着ているのが恥ずかしい」という内容でした。他の学校でもそのような相談があったとか。

他にも心がけることはたくさんあると思いますが、クロージングの目的を忘れなければ大丈夫です。そして【入社式までに学生を育てる】という気持ちでクロージング活動を進めていくと学生は答えてくれるのではないか。と私は信じております。

■最後に・・・
クロージングの目的と人選の必要性をお伝えしたつもりですが、最後に【社風】と【企業理念】についても考えてもらいたい。
求職者(学生)が就職先を決めるポイントとして高い比率を保っているのがこの2つである。
例えば、『地域密着』とうたっている会社が、都内の高級ホテルでディナー懇親会を開いたところで、良かったという印象は与えるかもしれませんが、何が良かったのかが明確でなく、学生の心には響きません。売り手市場が招くクロージング活動の活発化により、高級志向が当たり前になってきました。故に費用をかけようが全体の中の1つになってしまうのではないでしょうか。
そんなことを考えつつ、何をどの目的で選択していくのか考えてみようと思っています。

ちなみに私がいま一番心配なことは、懇親会での取締役からの挨拶です。
取締役からの言葉は学生にとてつもない大きな印象を与えますので絶対にはずせません。ですが、内定式のように式辞が決まっているわけではないからドキドキです。会社の旬の話をしていただくことはありがたいのですが、自分達が把握していないケースがあって、「えっ!?そんなこと聞いていないけど」と後に質問攻めにあったり、自らフォロー活動するケースもあります。かと言って発言に強要もできませんし。
ココが一番のリスクになるかもしれません・・・。

「企業は人なり」採用活動に協力的な社内の雰囲気が必要ということです。

 
 
 


 
 
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