○ 第3回 2008年1月
「「セキュリティーポリシー」ってなに?」

○ 第2回 2007年12月
「リスクコントロールの実際」

○ 第1回 2007年11月
「リスクマネジメント概論」

○ 作者プロフィール
 
    
中村 宏一 著      

以前、無料メール講座「リスクコントロールのイロハ」のタイトルで、3回に渡りリスクコントロールに関する基本的な考え方や理論を解説いたしました。
今回は、その続編の位置づけで「リスクマネジメントの実際」とのタイトルで、職場でのリスクマネジメントに関係する作業を数点ピックアップして解説します。このテキストにより、職場でのリスクコントロールの実施方法を適切に判断していただき、読者の方々のリスクコントロールへの取り組みの一助となれば幸いです。
よって、ここでの取扱範囲は、職場ですが、職場で働く読者(或いは筆者)個人の立場で記載していますので御了承下さい。今回も3回連載の予定で、今回は「リスクマネジメント概論」を解説します。


第1回 リスクマネジメント概論

1.概論:「イロハ」の次
前回の、「リスクコントロールのイロハ」では極力基本概念の説明に徹していましたが今回は、「イロハ」の次、のタイトルどおり少し詳しく解説します。

(1) 「危機管理」、「リスクコントロール」の比較
巷で「危機管理」、「リスクコントロール」、と言われますし、私たちも気軽にこれらの言葉を使います。ここで正しい言葉の意味と違いを認識しておきましょう。

*ここで、「Gooの国語辞典」を使い言葉の意味を検索してみました。

・【危機】
危険な時期。きわめてあぶない状態。 「―を脱する」「―が迫る」

・危機管理 【ききかんり】
クライシスマネジメント 【crisis management】
大地震・大停電・テロなど、天災・人災を問わず不測の事態に対して事前の準備を行い、被害を最小限に食い止めるよう対処するための諸政策。

・【危険】
あぶないこと。身体や生命に危害または損失の生ずる恐れがあること。また、そのさま。

・リスクマネジメント 【risk management】
営業活動に伴うさまざまな危険を最小の費用で食い止める経営管理活動。
リスク-アセスメントの結果に基づいて、危険度を一定値以下に抑えるために管理(禁止を含む)する手法。放射線・化学物質などの利用・管理や、リスク一般、広くは社会システムや制度がもつリスク管理をもいう。

●「リスクマネジメント」の定義
テーマが「リスクマネジメント概論」ですから、ここでは、「リスクマネジメント」を「さまざまな危険を最小の費用で食い止める管理手法」と考えてお話を進めていきます。

※『Gooの国語辞典』
・筆者は言葉の検索によく、「Gooの国語辞典」を使います。ネットワークに接続されたPC1台あれば手軽に検索できるので便利です。
・下図は一部画像を削除しています。 http://dictionary.goo.ne.jp/index.html

(2) ハザードとリスクの関係
ハザードという言葉もよく聞きます。ここでリスクとの違いを解説します。

・【ハザード】
 「危険性」或いは、「危険要因」とも言われます。
例】
  ハザードマップ
  モラル・ハザード

・【リスク】
  リスクは現実に発生している危険な状態を表します。

●違い
ハザードは潜在的に含む危険の原因となりうる要素を言います。それに対してリスクは実際に危険な状態を表します。

(3) 意志決定手法(手順)
意志決定という表現もWebページや書籍でよく見かけます。単純にいえば何かを決定することで、文字通り意思決定だともいえます。
ここでは意志決定の知識の整理をし、意志決定に関して記載された文章を正しく理解できる事を目標にします。

●アンゾフの意思決定階層論
アンゾフは意思決定を戦略的意思決定、管理的意思決定、業務的意思決定、の3つの階層に区分しました。

−戦略的意思決定
  トップマネジメントが対象の意思決定です。
  企業全体に関わる重要な問題が対象になります。

−管理的意思決定
  ミドルマネジメントが対象の意思決定です。
  自分が担当する部門において、組織の編成をして目標を与えて実行させる為に行う意志決定です。

−業務的意思決定
  ロワーマネジメントが対象の意思決定です。
  与えられた目標や業務の遂行の為に、スケジュールの決定や資材調達量の決定など実際の業務を遂行するために行う意志決定です。

●サイモンの意思決定構造
サイモンは、「経営とは意思決定である」として、意思決定の問題を構造的問題、半構造的問題、非構造的問題に区分しました。

−構造的問題
  問題を解決するロジックが明確な問題です。
  たとえば最適な資材調達量の決定とは発注費用と在庫保持費用の合計を最小にすることだと仮定できるならばロジックが明確となります。

−半構造的問題
  構造的問題と非構造的問題の中間です。
  そのものズバリの解法はないが、人間とコンピュータが協力することにより解答が見出せるというような問題です。
「もし、〜だとしたら、どうなるか」というような問題にすり替えることにより、考えるのは人間、計算するのはコンピュータにさせて、机上実験を試行錯誤することにより、適切な解を探すことができます。

−非構造的問題
  新規事業や企業合併など戦略的意思決定の多くは、場合により目的も環境も大きく異なりますので、問題解決可能な都合の良いロジックは存在しないといってよいでしょう。

●サイモンの意思決定プロセスと満足化原理
サイモンは意思決定の手順を「探索活動→設計活動→選択活動→検討活動」のサイクルになると定義しました。

−探索活動
  経営目標と現実とのギャップを認識して、それを埋めるための方法を探索する活動。

−設計活動
  ギャップの認識や探索結果により、具体的にどのようにすればよいかをいくつかの案(代替案)としてまとめる活動。

−選択活動
  代替案を比較評価して、ある特定の案を選択する活動。

−検討活動
  結果の検討をして、必要なら再度探索活動へ戻る判断をする活動。

−満足化原理
  経営人は、例えば目標が収益改善にあるならば、収益が最大にならなくても目標が達成されれば満足して、他の目標に眼を向けます。


2.リスクコントロールの基本は分析
●リスク分析解説
一口にリスクコントロールと言っても手順があります。
先ずはリスクを分析して、その結果を見て対策をたてますが、そのには特定の手法があります。ここでは、有名な4分割のマトリックス分析を解説します。

●リスク4分割マトリックス解説
様々なリスク要因を図の中に記載します。
  −縦軸の下:被害の小さいリスク
  −縦軸の上:被害の大きいリスク
  −横軸の左:発生確率の小さいリスク
  −横軸の右:発生確率の大きいリスク

これで、リスクの性質が見えてきます。

●マトリックス使用の対策
−図Tの部分のリスク:被害が小さく、発生確率も少ないリスクです。
  →通常無視して差し支えありません。

−図U部分のリスク:被害が小さいが、発生確率が高いリスクです。
  →日常生活を営む上での小さな怪我、盗難等が考えられます。
  →薬箱の用意、損害保険への加入で対応します。

−図Vの部分のリスク:被害が大きく、しかし発生確率は少ないリスクです。
  →地震、津波等の自然災害、飛行機事故等が想定されます。
  →対応の難しいものも多いのが現実です。普段からの訓練、備蓄、保険等で対応します。
  *重要なのは平常時に、正しくリスクを認識して、非常時に慌てない準備をしておくことです!

−図Wの部分のリスク:被害が大きく、発生確率も高いリスクです。
  →通常は有り得ません!したがって考慮する必要のないリスクです。


☆今後の予定
今回分を含め、全3回の予定でお送りします。内容は多少変更となる可能性がありますので御了承下さい。

◆第2回:リスクマネジメントの実際
−具体的な方法
 ■有効なツール
   ・保険
   ・警備会社
   ・セキュリティー危機
  ■「フィードバック制御」ってご存知ですか?
   ・ここで、自動制御の話を少し。。。

◆第3回:「セキュリティーポリシー」ってなに?
−解説
 ■権利としての「セキュリティーポリシー」
   ・Webユーザーの場合
   ・個人情報の提供
  ■義務としての「セキュリティーポリシー」
   ・個人情報管理
   ・技術開発者の場合
  ■権利としての「セキュリティーポリシー」の作成

【筆者から】
因みに、この内容は適正な分量で書けば 60〜80 Page 程度の小雑誌になってしまいますので、事例としてこれだけ知っておけば、リスクマネジメントの実際が理解できることを目標に整理、構成しています。

 
 
 


 
 
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